平成の大詐欺師

驚いた男がいたものである。その名は奥村裕氏、IPO大不況と言われるこのご時世で、昨年度11月東証マザーズに上場したものの、売上高を100億円規模の粉飾決算を行い、あっという間の上場廃止、破産手続きへと追いやられたエフオーアイ社長である。

私もニュースでちらりと聞いた程度で良く知らなかったが今日お世話になっている金融機関の方からの情報を元に自分でも調べてみた。

現在刑事事件として捜査中とのことらしいが、あれだけ厳しいと言われる東証審査や、証券会社、監査法人のチェックを潜り抜けて粉飾上場を果たしたというからある意味凄い。また、上場前に資本金50億程を集めており、そこには名だたるVCやファンドが名前を連ねているが彼ら全員を出し抜いてしまったわけである。ファイナンスの履歴を見るに5年程前から工作されてたストーリーだったに違いない。

目論見書を分析するとその手口には驚かされる。

詳しい財務分析は専門家に委ねるとして簡単に纏めると売上高120億円、経常利益20億円、これで時価総額が400億ぐらいで推移していたらしいが、特記すべきは売掛金。ほぼ60%が回収期間2年を要するものらしく、これら全てが虚偽報告とのこと。この結果上場後あっという間の資金ショートだったらしい。(そもそも民間ビジネスで売掛金2年の会社を疑わない時点でおかしいと思うのは私だけだろうか、、、しかも生産は殆どが海外。地道に現地インタビューしても調べても仕入先や得意先がグルならだれも分からない仕組みだったに違いない)社長及び経営陣がロックアップ期間だったことも有り、上場に関しては売り抜けてないことから恐らく架空の発注が闇の資金と化してたことは容易に予測できる。

社長の経歴を見ると日本電気にプロパー入社してから東京エレクトロンを経て創業に至るとのこと。社名を見る限りでも実直なサラリーマンライフを送ってそうな気もするのだが、彼を狂わせたのは一体何だったのだろうか?この事件を暴走した経営陣だけの責任とするのには少し違和感を感じてしまう。

ある意味平成の一大詐欺事件と呼んでもおかしくないこの事件は、通常の精神状態では到底起こし得ないものである。目をくらませる様な資金だったのか、はたまた上場前には多すぎる株主からのプレッシャーだったのか・・・。
この規模になってくると彼らを支援した金融機関、評価した監査法人、上場許可した証券会社、さらには東証に至るまでが道義的責任があると言える。

日本のIPO環境に新たな警鐘を鳴らたともいえるこの事件、皆さんはどうお考えだろうか?

『熱血法人 バズー』
熱血社長 森下洋次郎