10年後の自分へ

10年後の私は、43歳である。

その頃のバズーは15期目を迎え、バズーホールディングというホールディング形体を取り、そこに各職能カンパニーが紐づいている。社員数はグループ全体で200人。各社にはそれぞれ10名〜20名ぐらいの人員配置。きっと日本及び世界中の主要拠点に分かれて国際的な競争力に闘いうる企業体に変貌していることであろう。

バズーのメソッドやPhilosophyに共感し、そこの仲間に強く入りたいと願う意欲高い世界各国の若者が当社の門を叩き、狭き採用枠を競い合う。当然ながら採用のハードルは極めて高い。書類選考から考えると内定率1000倍近くの競争倍率になっていると思う。私の最終面接は受けるだけでも人生や世界観が変わると呼ばれるぐらい影響力があるものになっており、他にないユニークなコミュニケーションを取れる場として就職活動の名物詩として語られていることであろう。

運よく採用されたものには、魅力あふれるステップとステージを用意されており、その人のポテンシャルや意欲に応じて適切な配属が行われる。東京で採用されたのに翌年にはインドで開発やってるなんてことがざらにあると思う。さらに高いレベルのステップや環境や仕組みを準備しようとするEmployee Success(=従業員の成功)チームと、与えられた環境をいち早くクリアしようとする従業員との攻防がある意味バズーが重要視しているイノベーションの一つ姿になってるかもしれない。

その時のバズーの社内での会話ではこんな具合である。

新入社員「予算10,000,000円でこんな事業プラン立ててみたんですけど、どうでしょう?」
上司「へえ〜。でもこれそもそも君が心からやりたいことなの?これを愛して止まないと言える根拠は何かある?」
新入社員「はい。確かにそれをやる為に僕は生れてきたわけではないので、そこまででは無いですが、僕が取り組んできたバックグランドを考えるとこのビジネスって絶対僕しか出来ないと思うんです。」
上司「それって本当に?」
新入社員「はい。少なくとも僕は世界で自分しかできないビジネスだと信じてます」
上司「なるほど。でも1000万円だと予算オーバーだから俺の方でこっそり立て替えておくよ。社長には内緒にしておいてくれよな。」
何て具合。

そもそもが「やりたいことを仕事に」「出来ることを仕事に」のコンセプトに共感して入社してくる厳選されたメンバーが集まっているわけであるから、そこで起こるやりとりは全てがイノベーションに繋がり得ると言えるであろう。世界中のマーケットニーズに貪欲になり、「やりたいこと、出来ること」を何でもビジネスにしてしまう、そんなまるでコングロマリッド企業としてバズーのブランディングは築かれていく。もしかしたらモバイルでもなく、スクールでもなく新しいSomethingが主事業となっている可能性も大いに在り得ると言えるであろう。

やりたい意欲は大いに尊重し、会社として全面的に支援する。全ての従業員が仕事に対して強い想いと責任感を持ち、そのビジネスを通じて人間としても成長出来る環境がある。一方でそんな自由な風土の傍ら、立ち上がった事業に対してはシビアな意思決定もハンパじゃない。見込みが無かったり、担当の意思が弱かったりした瞬間に止められるぐらいの緊張感とスピード感である。若者はまるで起業の登竜門としてバズーを考えて入社するが、気づけばそこに働く仲間との時間、与えられた厳しくもあり大いに意欲をそそられる環境に魅了され、いつの間にか起業よりもそこで長きに渡り過ごすことにやりがいと生きがいを感じてしまうそんな企業になっていると思う。

私自身も生活の半分は海外で、半分は国内で過ごす比較的国際感覚豊かな経営者になっている。財布にお金が入ってるのと同じ感覚でパスポートを常に持ち歩き、近所に出向く感覚で海外に行き来する、そんなグローバルな男に成っているであろう。

年に一度は世界中の社員全員で集まる機会があり、世界の景色を楽しみながら、くだらない話を語り合う。社員同士だけでなく、家族や恋人等皆がざっくばらんに他愛のない会話を楽しめるといった具合。全社的な風土として短期的な急成長よりは、たとえ緩やかでも長期的で安定感ある成長を好む傾向にある、でも自分達が決めたこと、ポリシーを持っていることは明確にあり、それに対しては誰よりも熱くなれる、そんな集団になっていると思う。(私はきっとその時にも現役バリバリの熱血男であることは言うまでもない)雰囲気としては、競争や規律を重視する一見外資系的な要素も強いが、家族ぐるみの人間関係、温かく情に溢れる周囲との人間関係等、日本企業ならではの良さも垣間見れる環境でもある。

私の興味はその頃には政治の方向に目を向けていると思う。バズーのユニークな人材育成システムが評価され、各教育機関に招かれ、講義の場に立つ機会はその頃は少なくない中で、自らもっと根本的な制度を作れるポジションを目指すことは自明の理であると言える。今もこの先も変わらないことは自らの環境は人に依存せず、必ず自らの力で作っていく、このポリシーは10年後も変わっていないことであろう。

10年後のバズーの事業はどんなものがあるのだろうか?これは10年後のバズーにどんな人がいるべきかを考えた方がよりイメージがしやすくなると言える。彼らもしくは彼女たち自身がビジネスを創っていくからである。どんな人とやりたいかどんな人と仕事人生を共にしたいかを今一度強く考えることが未来のバズーの事業を形作りというものである。

10年後の自分がこのブログを見たときに、恥ずかしくない様に、日々経営人として毎日を精進したいと思う。


『熱血法人バズー』
熱血社長 森下洋次郎